コラム
-2001.4.25-
先日キックスケーターが関わる死亡事故が発生した。初めての事ではないのだが毎回考えさせられることがある。先にも書いた通り「関わる事故」で直接の死亡原因は自動車に轢かれた。それにも関わらずキックスケーターが危険極まりないため起きた事故だと断定している記事を時折見かけるが自動車側の責任を問わずにキックスケーターだけをこの様に扱うのは完全な誤認であり、あまりに一方的な意見と言わざるを得ない。
以前原宿で女性がキックスケーターに追突された事故に関しても1999年11月に起きた事故であり被害は全治一週間程の擦り傷、坂道を止まりきらずに追突した高校生が携帯番号を被害者へ伝え「治療費とクリーニング代金を負担する」と伝え、その後携帯を破棄して連絡が取れなくなったため被害者が原宿署へ届け出て翌2000年1月末になって加害者が検挙されたのである。
キックスケーターによる事故で初の検挙と騒がれたが結局真相は伝えられることがなかった。この事件は果たしてキックスケーターが悪いのか???確かに追突したのはいけないが・・・乱暴な言い方をすれば携帯は何故問題視されなかったのか???完全に乗り手のモラルの問題でありキックスケーターそのものの責任ではない筈である。
この事件をきっかけにしばらくはキックスケーターが「魔女狩り」にでもあっているかのような状況であったが賢明な一般人を中心に誤解が解けていった。
その他の死亡事故に関して坂道と雨天という状況が重なっている。濡れた急坂路を走れば自転車もバイクも自動車も危険である。現場状況を詳しく聞くと我々が検証して注意を呼びかけている斜度7度以上での事故が圧倒的に多い。斜度が5度を超えるか緩い坂であっても長い距離の場合は充分に注意するよう以前から呼びかけているが一見してその坂道が危険なのかどうかは判別できない・・・目安としては自転車(変速機無し)で登った場合にきつくなるようであれば危険と判断して構わない。
キックスケーターは機種によりブレーキの構造が違うため練習が必要になる。機種により確実に制動できる製品と制動力の弱い製品がありメーカー側にも改善要求を出しているが、乗る側も技術を身に付けなければならないのは当たり前である。
法律上は公道走行不可でなく公道で迷惑になる行為、すなわち人混みの中を疾走したり通行人に衝突したりしてはいけないと言う事である。例えば泥酔者などもこの中に当てはまる・・・新宿辺りには幾らでも路上で泥酔して迷惑を掛けている者がいる・・・要するに乗り手の意識に委ねられているのが現状である。
自分も父親が交通事故で身体障害者になってしまい亡くなるまで・・・いや亡くなってからも色々と考えさせられてきた。キックスケーターに乗って子供時代から交通社会に慣れ親しむことは無論、大人達もキックスケーターを有効活用して違法駐輪や違法駐車の改善に協力して貰いたい。
新聞、テレビは裏付けが取れたことだけを第一報として流し、後のフォローは週刊誌に委ねるという傾向があるが多くの人々が情報を鵜呑みにしてしまう危険性があることを認識して頂きたい。「事実」だけを取り上げずに「真実」も伝え有益な情報を流すべきである。
警察関係者や各自治体も単に走行禁止を呼びかけたところで全く効果が無いどころか逆効果を生む可能性に気付かなければならない。「乗せない」ではなくて「乗せて」学ばせることが最も大切である。
法的根拠の無い「公道走行禁止」を呼びかければ街中にマトモな知識を持たない乗り手が増えるだけである。ハナッからルールを守らない輩は益々無視して走るのが常套手段で講習会にも絶対参加しなくなる。ユーザー心理を伺い知ることが出来れば意味の無い規制は後々手の付けられないほどの反発を生むことも予想できる。
キックスケーター安全講習会を受けた子供達は自信を持って安全に乗っている。当然子供達同士でも教え会う・・・しっかりと教えれば間違えた乗り方をしないのは今までの活動を通しても実証済みである。
キックスケーターは自転車のルーツである。「公道は走ってもいいからちゃんと学んで練習させる」のが事故を防ぐ一番の得策である。
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